生産背景:和歌山県「ボア生地」

生産背景:和歌山県「ボア生地」

和歌山県の北部、紀ノ川の流れに沿って広がる高野口町。この地は、江戸時代から繊維産業が根づいてきた土地として知られ、特に先染めの技術を中心に発展してきました。

現在も国内有数の産地として、伝統と技術力を持つ工場が点在しています。

今回、Wakayama Premium Boa Blouson "Sashiko Pocket"に使用したボア生地を手がけたのは、1970年から始まる工場。

紡績から仕上げまでを自社で一貫して行える国内でも稀有な存在で、素材開発の柔軟さと、細やかな色調整力を強みとしています。

このボア生地は、全8工程から成る複雑なプロセスを経て完成します。原料の調合から始まり、繊維の方向を整えるカード、1056本もの針で丁寧に編み込む編立、毛足を整えるシャーリング、そして糊付け・タンブラー・巾出し・検反まで、一枚の生地を仕上げるにも各段階での細かな調整が入ります。

それぞれの工程には専用の機械があり、構造やメンテナンス方法が異なるため、扱うには深い理解と扱う技術が欠かせません。

また、繊維の出し入れや空間の清掃といった地道な作業には、必ず人の手が入ります。特に、原料調合時には繊維が非常に微細なため、異なる素材が混ざらないよう徹底的な清掃が必要で、場合によっては1時間以上かかることも。

専門の技術と地道な作業、その両方が揃ってはじめて、一枚の生地が形になります。

最盛期と比べると、海外製フリースの普及により、国内の工場数は大きく減少しています。

しかし、高野口には依然として創業当時からの機械が稼働し、ものづくりへの変わらない姿勢が存在しています。

 

Series lineup

ブログに戻る
1 4