「13.5oz Okayama Denim Cap / Hat」の縫製を手がけているのは、京都府に工房を構える縫製場です。昭和30年ごろの創業以来、約70年にわたり、帽子専門の縫製を手がけ続けてきました。
現在も初代の職人が現場に立ち、2代目とともに5名の職人が製作にあたっています。素材ごとの違いやクセを見極めながら、それぞれに適した仕上がりを丁寧に形にしていく職人の技と経験が、手仕事の文化が息づく京都の一角に存在しています。

この工房が歩んできた歴史は、時代とともに形を変えながらも、「被るものを縫う」という軸を変えずに続いてきました。創業当初は、展示会用キャップの製造から、その後、学生帽やイベント用帽子を経て、現在は国内メーカーからの依頼など多くの帽子を手がけています。
それでも、ものづくりへの姿勢は変わることなく、素材の選定から裁断、縫製、仕上げまで一貫して職人の手と目で行われています。帽子を専門としてきた工房だからこそこだわる品質と着用感、その一点を現在も追求し続けています。

帽子づくりは、クラウンやバイザーなど湾曲したパーツを立体的に組み上げていくという、衣類の中でも特殊な構造を持つため、各パーツに合わせたミシンの細かな使い分けが必要です。
中でも求められるのが、わずか0.5cmの誤差が被り心地に影響するほどの繊細な寸法管理。職人たちは、形状に合わせて縫い進める力加減を調整しながら、細部まで寸分の狂いなく仕上げていきます。
さらに、素材の厚みや張り、わずかな伸縮の違いに応じて、押さえ具や送り速度の調整も都度行われており、そうした繊細な対応は50年以上ミシンに向き合ってきた職人たちの経験があってこそ可能になるものです。

この工房では、限られた職人たちが一つひとつの帽子と向き合い、すべてを手作業で行っています。そこには効率的に繰り返す工程ではなく、人の手にわたる一つの作品として"仕上げること"に重きを置く姿がありました。
私たちが目にしたその一貫した想いは、この帽子を手に取った際に感じていただけるのではないかと思っております。
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