今回訪れたのは、「 14oz Gifu Ultra Heavy Weight 」のアイテムが編まれているニッターです。岐阜県西濃地域にあるそのニッターは、創業から50年以上、夫婦二人で営まれている編み工場。
この現場では、時には地域の職人たちの手も加わりながら、繊維産地ならではのつながりがものづくりの背景を支えています。

この土地は、古くから日本最大の毛織物産地として「尾州地区」に含まれるエリア。木曽川がもたらす軟水、綿花栽培に適した土壌、そして豊かな自然環境に恵まれ、繊維産業が根付いてきました。
長い歴史の中で培われてきた繊維産業ですが、生地の生産量は、かつての最盛期と比べると大きく減少しています。そうした中でも、変わることなく手仕事と技術を守り続けているこの現場には、ものづくりの本質が息づいています。

このニッターで今回編まれているのが、「10番双糸」を使った特別な生地です。 使用しているのは、一般的なTシャツ生地に比べて一段と太い「10番手」という極太の糸。さらに、それを2本撚り合わせて1本に仕立てた“双糸”構成にしています。
この構成によって生まれる生地は、いわゆるヘビーウェイトと呼ばれる生地よりも、さらにしっかりとした厚みと深みを備えた仕上がりになり、 生地に備わったこの厚みと質感は、この素材ならではの個性といえます。
一般的な太番手とは異なり、撚り合わせた10番双糸という特殊な糸構成に対応できる現場は限られています。 このニッターでは、繊維産業が根づいた土地で培われたものづくりの知識と、旧式のローゲージ編み機を長年扱い続けてきた現場の技術が、それを支えています。
昭和40年代製のローゲージ編み機は、針のピッチが粗く、編み目に空気を含んだ立体感をつくり出します。厚みのある生地にもやわらかな表情が生まれるのは、こうした機械の特性と、それを見極めながら微調整を行う職人の手があってこそ。
仕様に合わせて編み機の状態を細やかに見極めながら仕上げていく、地道な作業の積み重ねが、風合いの良さにつながっています。

この生地は厚みがある分、巻き取り工程でも細やかな注意が求められます。 通常の生地に比べて糸そのものが太く、構成も特殊なため、機械まかせでは安定した仕上がりにはなりません。
わずかなテンションの乱れや機械の動きの変化が、生地全体の巻き取りに影響を及ぼすからこそ、職人たちは目視で状態を確認しながら、必要に応じて手作業でズレを調整していきます。編み機が発する音の変化からも、この生地が通常とは異なる手間と技術を必要とすることが感じ取れます。糸のセッティングから巻き取りまで、どの工程も機械任せではいかず、ひとつひとつの工程すべてが職人の手によって支えられています。

極太の双糸を用いた、厚みと存在感を備えた特別な生地。 その背景にあるのは、最新の機械でも特殊な設備でもなく、古い編み機を手入れしながら使い続け、積み重ねてきた技術と勘に支えられた丁寧なものづくりです。
実際に現場に足を運ぶことで、その姿勢が、この土地に根づく技術と結びついていることを強く感じました。尾州という毛織物産地の歴史があり、このニッターの手と地域のつながりがあってこそ形になる生地。10番双糸天竺の個性ある表情には、蓄積された経験と、積み上げられてきた仕事の丁寧さが表れています。
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・14oz Gifu Ultra Heavy Weight Over Size T-shirt_White
・14oz Gifu Ultra Heavy Weight Over Size T-shirt_Black