生産背景:静岡県「遠州コール天 / 製織」

生産背景:静岡県「遠州コール天 / 製織」

今回訪れた生産背景の舞台は、静岡県・遠州の機屋。遠州は古くから織物産地として知られ、なかでも国産コール天の生産を支えてきた地域です。

そこに位置する1961年創業の機屋は、現在、国産コール天生地の製織を専門としている三社のうちのひとつです。

この機屋が担っているのは、国産コール天のクオリティを左右する基盤の製織。畝の美しさや触れたときのやわらかさは、後工程だけでなく、その土台となる生地の質によっても大きく変わります。

製織では、経糸二千本以上の張り具合や糸の状態を見ながら、織機を細かく調整しています。機械の設定だけでは捉えきれない素材の変化を職人が確認し続けることで、生地の仕上がりを支えています。

職人の経験からくる判断が必要になるのは、扱う素材が自然由来であり、常に同じ状態ではないためです。湿度や素材の具合によって反応が変わり、同じ手順で進めても、織り上がりに差が出ることもあります。

現場では、糸の走り方や生地の表情、織機の動きまでを見ながら、その都度必要な手を加えていきます。数値だけでは拾いきれないわずかな違いを読み取ることが、コール天生地の美しさと触感につながっています。

織機の動き、生地の状態、糸の変化を見ながら調整を重ねる作業は、長年この生地に携わってきた知見があって成立するもの。

国産コール天のクオリティを下支えしている確かな技術が、この現場に存在しています。

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