生産背景:岡山県「ジャガード生地」

生産背景:岡山県「ジャガード生地」

今回訪れた「Okayama Indigo " Bandana Jacquard " Band Collar Shirt」の生産背景の舞台は、岡山県・井原市にある老舗の機屋。「アズマバッグ」の刺子生地を製織した場所でもあり、その織りの確かさと仕上がりを実感したことから改めて依頼しました。

現場で稼働していたのは、エア織機の中でも構造が複雑なジャガード織機。コストや操作難度も高く、生産効率というよりも柄の緻密さに特化した構造です。

今回のアイテムに使用しているのは、バンダナデザインの総柄。一般的に総柄はプリントで仕上げられることもありますが、この生地は糸を組み合わせた“織り”で柄を表現しています。

一本ずつ独立して制御されるタテ糸によって細かな柄を構成し、一枚の生地の中で織り方を切り替えながら柄に奥行きをつくっていく構造により、立体感を持つ生地に仕上がります。

この立体的な構造は、そのまま工程の複雑さにもつながっています。柄を織るための設計は細かく、条件が変われば設定も再度調整。新たな柄の製織であれば、試作から始め、調整を重ねながら完成度を高めていく必要があります。

今回依頼したジャガード生地では、タテ糸4,600本を上下二つの巻き取り軸(ビーム)に分け、一本一本を独立して制御しています。そこに、1cmあたり約30本以上という高密度で打ち込まれたヨコ糸が組み合わさり、緻密な表情の総柄を形づくっています。

最終的に仕上がりを決めるのは、機械そのものではありません。数値通りに動かすだけでは安定せず、糸のわずかな変化を見ながら判断していきます。経験がなければ織機を安定して動かし続けることは難しく、その差がそのまま生地の完成度に現れます。

綿糸は番手や種類によって縮み方が異なるため、織り上がりの状態だけでなく、洗濯後の変化までを見越して仕上げていきます。そうした先を読む設計も、現場で積み重ねてきた経験があってこそ可能になるものです。

そんな手間と時間がかかるジャガード生地をあえて選ぶ理由は、構造として柄を組み上げることでしか得られない納得感があるからです。

生地の生産背景を知ることで、このアイテムの柄が単なる装飾ではなく、職人の経験に裏打ちされた技術の痕跡とも見ることができます。

 

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