生産背景:愛知県「尾州の歴史と継ぐ技術 / 縫製」

生産背景:愛知県「尾州の歴史と継ぐ技術 / 縫製」

今回の生産背景は、繊維産業の歴史深い愛知県の尾州地区に位置する縫製場です。尾州地区は日本最大の毛織物産地と知られ、最盛期には大規模な製織や染織工場、縫製場など多くの工場が立ち並んでいました。

今では時代とともに変遷を重ねながらも、長い時間をかけて蓄積された技術をもとに、日本の産業を支えています。

今回の縫製場のルーツは、足踏みミシンや運搬用として大八車が使われていた戦前戦後の時代まで遡ります。創業から現代まで、時流にもまれながらも拠点や体制を柔軟に変え、その技術を守り続けてきました。

現在は、三代目がその意志を引き継ぎ、これまで培った技術をもとにものづくりをしています。

この現場の強みは、服全体の構造を理解した仕立てです。生地の仕入れから製品化までを一貫して手がけていた経験をもとに、素材の性質や状態を見ながら一つの製品としての仕上りを想定した縫製を行います。

希少なミシンから扱いが難しい4本針ミシンなど、多様なミシンを使いながら、単なる"縫う"という断片的な作業に留めず、常に製品化を見据えた確かな仕立てを実現しています。

アメカジ製品に見られるような、タフで厚手な生地の扱いを得意とする一方で、寸法管理が難しい繊細なカットソーなど伸縮性のある生地にも幅広く対応します。

規格寸法に合わせ、また着用時の伸縮性を見越した最適な縫製は、決してマニュアル化することのできない、人の感覚領域にある高度な技を要します。 同じ工程を経てもなお微妙に変化する生地の状態。その性質を見極めながら、手と足の微細な力加減に反映させることではじめて、ひとつの製品として生まれるのです。

現場では、縫製という一つの工程がマニュアルに沿って、淡々とこなされているわけではありません。多様な生地と向き合い、職人の経験と感覚をもとにした、繊細な手仕事が行われています。

現代の最新技術を持ってしても、代替えが難しい"縫う"という工程。そこにはものづくりに対する変わらぬ意志と、日々生地に向き合う直向きな職人の姿があります。

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